顔の『たるみ』はなぜできる?5つの原因と防止法3つを解説

鏡を見てたるみを気にしている女性

たるみは、年齢を重ねると多くの方が直面する悩みですが、加齢以外に紫外線や日々の生活習慣など、さまざまな要因がからみ合って起こります。

この記事では、たるみの仕組みや原因、今日から始められる具体的な防止法を解説します。

たるみの原因と防止法を知り、若々しいフェイスラインを保ちたい方は、ぜひ参考にしてください。

たるみとは?発生の仕組みと基礎知識

顎のたるみを気にしている女性

たるみは、皮膚の奥深くにある組織の変化が見た目の変化として現れる複雑な現象です。

たるみが発生するメカニズムや目立ちやすい部位について解説します。

たるみのメカニズム

たるみは、皮膚の弾力が失われ重力に負けて垂れ下がってしまう状態を指します。

人間の皮膚は、表面から順に、以下のような複数の層で構成されています。

皮下組織のさらに下の層には、SMAS(スマス)筋層といった皮膚を支える土台があり、さらに下には表情筋があります。

上記複数の層で起こる変化が組み合わさって、たるみが発生するのです。

たるみの主なメカニズムとして、真皮層にあるコラーゲンやエラスチンといったハリを支える線維の減少や変性があげられます。

ハリを支える繊維が影響を受けるため、肌の土台がゆるんでしまうのです。

また、皮下脂肪の増加や下垂、さらには土台を支えるSMAS筋膜や表情筋の筋力低下も、たるみを深刻化させる大きな要因です。

皮膚の各層で起こる変化が複合的に絡み合って、皮膚の重さを内側から支えきれなくなり、見た目のたるみとして現れます。

たるみが目立つ部位

たるみは顔のさまざまな部位に現れますが、特に年齢を感じさせやすい代表的な場所があります。

たるみの部位特徴
ほうれい線小鼻の横から口角にかけてできる線 頬の脂肪の下垂が主な原因
マリオネットライン口角からあごにかけて伸びる線 口周りの筋肉の衰えや頬の脂肪の下垂が関係している
ゴルゴライン目頭の下から頬の中央にかけて斜めに入る線 皮下脂肪の減少や構造の変化で目立ちやすくなる
フェイスラインのもたつきあご周りの輪郭がぼやける状態 SMAS筋膜のゆるみや皮下脂肪の蓄積が原因で二重あごにつながることも

上記部位は、皮膚の薄さや脂肪のつき方、筋肉の動きなどの特徴から、たるみの影響が現れやすい場所とされています。

たるみは治るのか

「一度できてしまったたるみは治るのか」

多くの方が気にする問題ですが、実際にセルフケアだけで完全に解消するのは難しいのが現実です。

たるみは皮膚表面の問題だけでなく、真皮層のコラーゲン減少や、さらに深い層にある脂肪、筋肉、骨の変化といった構造的な問題が原因だからです。

しかし、日々のスキンケアや生活習慣の見直しによって、たるみの進行を遅らせたり、これからのたるみを防止したりすることは十分に可能です。

また、美容医療の分野では、たるみの原因に直接アプローチするさまざまな治療法があります。

まずは、たるみの防止を徹底し、さらなる改善を求める場合には美容医療の専門医に相談してみましょう。

顔のたるみが起こる5つの原因

WHYと書かれた吹き出し

顔のたるみの原因は1つではなく、複数の要因がからみ合って起こります。

なぜ顔のたるみが起こるのか、代表的な5つの原因を以下で詳しく解説します。

加齢によるコラーゲン減少

たるみの原因の1つとして挙げられるのは、加齢による肌内部の変化です。

肌のハリと弾力を支える真皮層のコラーゲンやエラスチンは、線維芽細胞(せんいがさいぼう)という細胞によって作り出されます。

しかし、線維芽細胞は加齢とともに働きが衰えてしまうのです。

結果として、コラーゲンやエラスチンの産生量が減少し、質も低下します。

また、古いコラーゲンが分解されにくくなり、新陳代謝が滞ることで、肌の土台である真皮層は弾力を失い、重力に抗えなくなります。

加齢による構造的な衰えが、肌表面のたるみとして現れるのです。

20歳をピークにコラーゲンの産生量は減少し始め、50代ではピーク時の70%まで減少するというデータもあります。(出典元:大正製薬

紫外線による光老化

加齢による自然な老化とは別に、たるみの原因となるのが紫外線による光老化です。

長年にわたり無防備に紫外線を浴び続けると、肌は深刻なダメージを受けます。

紫外線にはUVA波とUVB波がありますが、たるみに深く関わるのはUVA波です。

UVA波は波長が長く、屋内でも窓ガラスを通り抜けて肌の奥深く、真皮層まで到達します。

UVA波を浴びた結果、ハリを保つコラーゲンやエラスチンを破壊する酵素(MMP:マトリックスメタロプロテアーゼ)が過剰に生成されてしまいます。

MMPの生成により、コラーゲン線維が切断されたり、エラスチンが変性したりして、肌の弾力が失われてたるんでしまうのです。

肌の老化の約80%は光老化が原因とも言われており、紫外線対策はたるみ防止に不可欠です。

日焼け止めを毎日使用したり、外出時は帽子や日傘で物理的にブロックしたりといった、紫外線対策を日常に取り入れましょう

表情筋の衰え

顔には約30種類以上の「表情筋」があり、皮膚や皮下脂肪を支える土台の役割を果たしています。

しかし、体の筋肉と同じように、表情筋も使わなければ衰えていくものです。

特に、無表情でいる時間が長い方や、あまり人と話さない方は表情筋が衰えやすい傾向にあるため、注意が必要です。

表情筋が衰えると、上層にある脂肪や皮膚を支えきれなくなり、重力に負けて垂れ下がってしまいます。

意識的に表情筋を動かすことが、たるみ防止に重要です。

乾燥による弾力低下

肌の乾燥も、たるみを引き起こす間接的な原因となります。

肌が乾燥すると、角層のバリア機能が低下し、外部からの刺激を受けやすくなります。

バリア機能の低下により、肌内部で微弱な炎症が起こり、真皮のコラーゲンなどにダメージを与えてしまうのです。

また、肌表面の水分が不足すると、キメが乱れてハリが失われ、見た目にもしぼんだ印象を与えます。

乾燥によってできる浅い小じわを放置していると、やがて皮膚の構造が変化し、深いたるみへと進行する可能性も出てきます。

たるみの直接的な原因ではないものの、乾燥は肌の健やかさを損ない、たるみを助長する要因となるため毎日の保湿ケアは非常に重要です。

骨密度の減少

見落とされがちですが、たるみの根本的な原因の一つに骨の萎縮があります。

顔の骨は、皮膚や筋肉、脂肪を支える土台です。

しかし、加齢にともない骨密度は低下し、骨は徐々に痩せていきます。

特に、目の周りの眼窩(がんか)や頬骨、あごの骨は萎縮しやすい部位です。

骨という土台が小さくなると、その上を覆っていた皮膚や脂肪が余ってしまい、行き場を失って垂れ下がります。

結果として、目のくぼみやゴルゴライン、フェイスラインの崩れといった深刻なたるみにつながるのです。

特に女性は、閉経後に女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少して骨密度が低下しやすいため、注意が必要です。

骨の健康を維持するため、以下の食品を意識してとりましょう。

バランス良くさまざまな食材を取り入れ、骨の健康を意識した食習慣を取り入れれば、骨の萎縮やたるみ防止につながります。

自宅でできる『たるみ防止法』

スキンケアをする若い女性

たるみを完全に消すのは難しくても、日々のセルフケアで進行を遅らせ、たるみを防止させることは十分可能です。

毎日の生活に取り入れやすい『たるみ防止法』を以下でご紹介します。

スキンケア

毎日のスキンケアは、たるみ防止の基本です。

忙しいと、ついケアを怠ってしまいがちですが、未来の肌への投資ととらえて丁寧に行いましょう。

特に重要なのは保湿有効成分の選択です。

保湿

肌が乾燥するとバリア機能が低下し、紫外線などの外部ダメージを受けやすくなるうえ、肌自体のハリも失われてしまいます。

化粧水でたっぷりと水分を与えた後、乳液やクリームなどの油分でしっかりとフタをして、水分が蒸発するのを防ぎましょう。

十分な保湿を行えば、肌のキメが整い、たるみが目立ちにくいハリのある肌を目指せます。

有効成分の選択

たるみ防止を目的としたスキンケアでは、化粧品に配合されている成分にも注目しましょう。

たるみ防止の効果が期待できる成分を取り入れるのがおすすめです。

成分名特徴
レチノールビタミンAの一種 肌のターンオーバーを促進し、真皮のコラーゲン産生をサポートする働きがある
ナイアシンアミドビタミンB群の一種 コラーゲン産生を促進する効果が認められており、シワ改善や美白の有効成分として幅広く使用されている
ビタミンC誘導体コラーゲンの生成を助けるほか、抗酸化作用によって紫外線ダメージから肌を守る働きがある

上記成分は、肌への刺激を感じる場合もあるため、敏感肌の方は注意が必要です。

最初は低濃度のものから試したり、パッチテストを行ったりするなど、自身の肌状態に合わせて慎重に取り入れましょう。

表情筋エクササイズ

口を大きく開けて「あ・い・う・え・お」と発声するだけでも、顔の広範囲の筋肉を鍛えられます。

それぞれの音を5秒キープし、ゆっくりと行いましょう。

各発声を1セットとして、1日に3セット程度行うのが目安です。

無理のない範囲で、毎日続けてみましょう。

顔の筋肉「表情筋」を鍛えれば、皮膚を内側から支え、たるみを引き上げるのに役立ちます。

ただし、やりすぎや間違った方法は、かえってシワの原因になってしまうため、やさしく気持ち良いと感じる範囲で行いましょう。

美容皮膚科でのたるみ治療

たるみのカウンセリングを受けている女性

セルフケアでのたるみ防止や改善には、限界があるのも事実です。

より積極的にたるみを改善したい、効果を実感したいという場合には、美容皮膚科での治療が有効です。

美容皮膚科の代表的な治療法や治療を選ぶ際のポイントについて、以下で解説します。

HIFU(ハイフ)治療

HIFU(ハイフ)とは「High Intensity Focused Ultrasound」の略で、日本語で「高密度焦点式超音波」と訳されます。

ハイフは美容医療分野での導入が増えており、メスを使わず肌の引き締めを目指せる治療法のひとつとして、近年注目されています。

超音波のエネルギーを一点に集中させ、たるみの一因とされるSMAS(スマス)筋膜という皮膚の深層に熱エネルギーを届けるのが特徴です。

熱刺激によってタンパク質が一時的に収縮し、フェイスラインの引き締まりを実感される方もいます。

また、施術後の回復過程でコラーゲンの生成がうながされ、時間の経過とともにハリ感の変化を感じられます。(効果には個人差あり)

ボルニューマ

ボルニューマは、RF(高周波)の熱エネルギーを利用した治療方法です。

熱エネルギーを皮膚に届ける点においてはハイフと似ていますが、特徴や肌への作用はそれぞれ異なります。

ボルニューマとハイフの違いは、以下のとおりです。

ボルニューマの熱作用により、真皮内のコラーゲン繊維が収縮して、新たなコラーゲンの生成をうながします。

広範囲に作用するため、肌全体の弾力アップ、小ジワや目元のたるみ改善に効果が期待できる治療法です。

肌への負担や痛みも少なく、施術後すぐにメイクができる場合が多いため、忙しい方にも適しています。

糸リフト(スレッドリフト)

糸リフトは、コグと呼ばれるトゲのようなものが付いた医療用の溶ける糸を皮下に注入し、たるんだ皮膚や脂肪を物理的に引き上げる治療法です。

メスを使わずにリフトアップ効果が得られるため、ダウンタイムを抑えながら、顔のたるみを改善したい方に適しています。

また、糸を挿入した刺激で周辺組織のコラーゲン生成が促進されるため、肌にハリやツヤが生まれる美肌効果も期待できます。

治療選択のポイント

美容医療を受けるうえで重要なのは、専門医による正確な診断と、ご自身に合った治療法の選択です。

まずは、信頼できるクリニックでカウンセリングを受けましょう。

カウンセリングでは、ご自身の悩みや希望を具体的に伝えることが大切です。

医師は、たるみの原因(皮膚、脂肪、筋膜など)を診断し、それぞれの治療法のメリット・デメリット、効果やリスク、費用などを詳しく説明します。

受診の際は、以下のポイントを考慮して、治療法を選択しましょう。

ご自身のライフスタイルも考慮し、納得のいく治療法を慎重に選んでいくのが重要です。

まとめ

顔のたるみは、加齢や生活習慣、紫外線、乾燥、表情筋の衰えなど、さまざまな原因がからみ合って進行します。

たるみのメカニズムを正しく理解して、保湿や紫外線対策、表情筋のトレーニングやバランスの良い食事など多方面から防止対策を行うのが大切です。

セルフケアだけで改善が難しい場合は、美容皮膚科での治療も有効な選択肢です。

HIFUや高周波治療など、専門医の診断のもとで自分に合った方法を選べば、より積極的にたるみ改善にアプローチできます。

顔のたるみでお悩みの方は『みずき皮膚科クリニック』にご相談ください。

みずき皮膚科クリニックでは、日本皮膚科学会が認定した女性の皮膚科専門医が、それぞれのお肌の悩みに寄り添った丁寧なカウンセリングを行っています。

診療予約は、電話またはWEB予約、公式LINEより受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。

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