ヒアルロン酸の種類とは?国内承認製剤2種類と国外の製剤を一覧紹介!

ヒアルロン酸注射に使用される製剤のブランドや種類はとても多く、使用する部位によって使い分けられています。
ヒアルロン酸製剤を使用する注入治療は、日本では医薬品医療機器等法(旧薬事法)に基づき厚生労働省の承認を受けた製剤の使用が推奨されるのが一般的です。
では実際に、ヒアルロン酸製剤にはどのような種類があるのでしょうか?
この記事では、厚生労働省に承認されているヒアルロン酸製剤について、種類・特徴や適した部位、効果持続期間などを含めて詳しく紹介します。
未承認製剤にも外国での使用が認められている、質の良いヒアルロン酸製剤もありますが、まずは承認を得ている製剤について理解を深めるため、ぜひ参考にしてください。
厚生労働省の承認を得ている製剤は2社

日本において厚生労働省の承認を得ている製剤は以下の2社によるものです。
- アラガン社の『ジュビダームビスタ』シリーズ
- ガルデルマ社の『レスチレン』シリーズ
厚生労働省の承認を受けるメリットは、日本人が使用するうえでの有効性や安全性・品質が確認されている製剤として使用できることです。
厚生労働省の承認を受けている製剤を使用しているかどうかは、医師の経験や実績を重視することと並ぶ、クリニックを選ぶ際の一つの条件といえます。
使用する製剤については、カウンセリングの際に前もって確認をしておきましょう。
未承認製剤を使用するデメリット

ヒアルロン酸製剤の種類は多く、中には厚生労働省の承認を受けていない製剤を使用しているクリニックもあります。
実際、日本で承認されていないというだけで、以下のような海外での承認・認可を受けている製剤も多数存在します。
- FDA(米国食品医薬品局)
- MFDS(旧KFDA/韓国食品医薬品安全庁)
- CEマーク(欧州安全基準適合)
- EDQM(欧州医薬品品質理事会)
海外での使用実績が豊富であったり、効果が認められているということで、クリニックが個人輸入を行い提供しているケースが少なくありません。
製剤の質や効果の見極めは専門の医師でなければ判断できないのが実情ですが、コストパフォーマンスがいいもの、質の良いものなどが全くないとは言い切れないでしょう。
問題は、日本で承認されていないヒアルロン酸製剤を使用してトラブルがあった場合でも、個人の責任の下であることに注意しなければならない点です。
美容施術は医療行為です。何かあった場合のリスクに対応するためにも、厚生労働省の承認を受けているかどうかを確認したうえで施術に臨みましょう。
アラガン社『ジュビダームビスタ』

アラガン社のジュビダームビスタシリーズは、日本国内で初めて承認を受けているヒアルロン酸製剤で、FDA(米国食品医薬品局)でも承認されています。
ジュビダームビスタ | 柔らかさ | 効果持続 | 適応部位 |
ボラックスXC | 最も硬い | 約18ヶ月 | 鼻・あご・フェイスライン |
ボリューマXC | 硬い | 約24ヶ月 | 額・ゴルゴライン・ほうれい線・マリオネットライン・おとがい部・あご |
ウルトラプラスXC | やや硬い | 約12ヶ月 | 額・頬・ほうれい線・マリオネットライン・あご・おとがい部 |
ボリフトXC | 中間の硬さ | 約18ヶ月 | 額・ゴルゴライン・ほうれい線・マリオネットライン・おとがい部・あご |
ウルトラXC | やや柔らかい | 約9ヶ月 | 額・頬・ほうれい線・口の周り・マリオネットライン・あご・おとがい部 |
ボルベラXC | 柔らかい | 約12ヶ月 | 額・目の上のくぼみ・目の下・口周り・首のしわ |
ボライトXC | 最も柔らかい | 約9ヶ月間(保水性改善)約4ヶ月間(小ジワ改善) | 額・頬・首のしわ |
持続効果の高い新製法『VYCROSS(バイクロス)』技術
ジュビダームシリーズで取り入れられているバイクロス技術とは、分子同士の編み目構造が密であるため、ヒアルロン酸による体内の水分を吸収しづらくなっています。
ヒアルロン酸は、体内で周囲の水分を吸収することで周りの組織となじんでいきますが、なじんで少しずつ吸収されていくため、ボリュームが減少していきます。
編み目構造を密にすることで吸収を抑え、これまでのヒアルロン酸よりも持続効果を高め、組織親和性も高いため顔の組織になじみやすい製剤になりました。
柔らかさも7段階と幅広いため、使用目的により使い分けも可能です。部位に適したリフト力や注入後の優れた成型性もバイクロス技術の特徴です。
ジュビダームビスタシリーズの特徴
ジュビダームビスタシリーズの特徴は以下です。
ボラックスXC
シリーズ中で最も硬いボラックスは、高い弾力性を持ちまとまりが良いため、顎や鼻、フェイスラインの形成に活躍します。
ボリューマXC
ボラックスXCの次に硬いボリューマXCは、効果持続期間が約24ヶ月とシリーズ最長で、一度注入すると吸収されにくくなるため、それ以上の持続期間も期待できます。
深いシワや顔のくぼみなどが改善します。
ウルトラプラスXC
ウルトラプラスXCは、輪郭形成や深いシワ・溝の改善に適しています。
中等度のシワやほうれい線・口角などが適応部位です。
自然なボリュームアップをしたい人におすすめです。
ボリフトXC
ボリフトは、リフト力に強度なものが必要なければ、ほぼどの部位にも注入できる、やや柔らかめの質感です。
柔らかいですがまとまりが良いため、ピンポイントのボリュームアップも可能で、細かい部分の治療にも適しているため、額や目元の浅いシワにも適応します。
ウルトラXC
ウルトラXCは、やや柔らかめですが適度な弾力とまとまりの良さで、自然に仕上がります。
まとまりの良さは分解されにくさでもあるため、治療効果が持続しやすくなっています。
弾性が適度にあり、力がかかっても広がり過ぎず、元の形にもきちんと戻ります。
ボルベラXC
柔らかい質感のボルベラXCは、目元や唇などの皮膚が薄いデリケートな部分の治療に効果があります。
表層へのなじみがよく、浅い層への注入が向いています。
柔らかいですが注入の深さを変えることでシワや凹みにも対応でき、唇や涙袋のボリュームアップがしたいプチ整形も行えるなど、繊細な治療が可能です。
ボライトXC
ボライトXCは、シワやたるみの改善を目指すこれまでのヒアルロン酸とは違い、肌質を改善するタイプのヒアルロン酸製剤です。
真皮層へ均等に注入し全体へ行き渡らせます。
肌の弾力性を高め、内側からの潤いを感じる美肌注射です。
ガルデルマ社『レスチレン』

ガルデルマ社のレスチレンシリーズは、中度から重度のシワ改善やフェイスラインの引き上げを目的としたヒアルロン酸製剤です。
レスチレン | 柔らかさ | 効果持続 | 適応部位 |
リド | 柔らかめ | 約12ヶ月 | シワ、ほうれい線、マリオネットライン |
リフトリド | 硬め | 約12〜18ヶ月 | 深刻なほうれい線、ゴルゴライン、マリオネットライン、フェイスライン、顎 |
世界で初めてCEマークを取得したヒアルロン酸注入剤
美容医療を目的として、非動物由来の安定化ヒアルロン酸注入剤として世界初のCEマークを取得しており、世界90ヶ国で3000万回以上の治験実績があります。
FDA(米国食品医薬品局)の承認も取得し、その後10年弱の年月を経て厚生労働省にも承認されました。
局所麻酔が配合されているため、従来の製剤と比べると痛みの少ないヒアルロン注入剤といえます。
個人差はありますが、2回目の追加注入を行うことで、最長3年もの効果持続が報告されているため、通常のヒアルロン酸より長い期間の効果持続が期待できます。
レスチレンシリーズの特徴
レスチレンシリーズの特徴は以下です。
レスチレンリド
レスチレンリドは純度が高く均一な粒子のため、持続性があります。
ゲル硬度が高いためリフティング効果がある一方、柔らかめのため涙袋や唇など柔らかい部位への注入にも適しています。
レスチレンリフトリド
レスチレンリフトリドは、レスチレンリド同様、リフティング効果や持続性があります。
また、レスチレンリドに比べると粒子が大きいため、ほうれい線や深いシワ・顎や鼻の形成にも優れています。
ヒアルロン酸注射の費用
ヒアルロン酸注射の費用については、使用するヒアルロン酸の種類、クリニックの費用設定、使用する量、麻酔の有無、どの部位に打つかなど、条件によって大きく変わります。
ヒアルロン酸注射の1本あたりの量は一般的に1ccで、費用相場は6~13万円程度ですが、クリニックによってばらつきがあるのが現状です。
また、ジュビダームもレスチレンも1本あたりが1cc、費用設定も同額にしているクリニックが多く、違いがある場合でもレスチレンが若干安い傾向があります。
クリニックによって使用量は変わりますが、1本ccを基準とした一般的な部位別の必要量の一例は以下の通りです。
〜1本 | 1〜2本 | 1〜3本 | 1〜5本 | 2〜4本 |
目の下(クマ取り) 口上・口下 涙袋 眉間 小鼻横 | ほうれい線 マリオネットライン 顎口唇 | ゴルゴライン | 額 | こめかみ頬 |
ヒアルロン酸注射の費用は製剤1本辺りの料金だけではなく、技術や方針など治療の質や相談しやすさなど、多方面から納得のいく検討をして、施術するクリニックを選びましょう。
厚生労働省未承認のヒアルロン酸製剤

ここでは、厚生労働省未承認のヒアルロン酸製剤を紹介します。
上述した通り、日本国内にて未承認の製剤を使用する場合は自己責任となるため、十分注意が必要です。(※空欄は認可・承認の事実確認がとれていません。)
名称 | 会社名 | 認可・承認 |
ダイヤモンドフィール | hans pharma社 | 資生堂が原材料を提供 |
クレヴィエルプライム | エストラ | MFDS(旧KFDA/韓国食品医薬品安全庁) |
クレヴィエルコントア | エストラ | MFDS |
スタイレージS | Vivacy社 | |
スタイレージM | Vivacy社 | |
スタイレージL | Vivacy社 | |
アノルブクラシック | ノーベルファーマ株式会社 | |
アノルブディープ | ノーベルファーマ株式会社 | MFDS |
アノルブグランド | ノーベルファーマ株式会社 | MFDS |
ニューラミスメソ | メディトックス社 | MFDS EDQM(欧州医薬品品質理事会) |
ニューラミスディープ | メディトックス社 | MFDS EDQM |
ニューラミスライトリドカイン | メディトックス社 | MFDS EDQM |
ニューラミスリドカイン | メディトックス社 | MFDSEDQM |
ニューラミスディープリドカイン | メディトックス社 | MFDSEDQM |
ニューラミスボリュームリドカイン | メディトックス社 | MFDS EDQM |
チャウムプレミアムNo.1 | Hugel社 | MFDS EDQM |
チャウムプレミアムNo.2 | Hugel社 | MFDS EDQM |
チャウムプレミアムNo.3 | Hugel社 | MFDS EDQM |
チャウムプレミアムNo.4 | Hugel社 | MFDS EDQM |
ベロテロソフト | MERZ社 | FDA(米国食品医薬品局) |
ベロテロバランス | MERZ社 | FDA |
ベロテロボリューム | MERZ社 | FDA |
テオシアルリデンシティⅠ | テオキサンラボラトリー社 | FDA |
テオシアルリデンシティⅡ | テオキサンラボラトリー社 | FDA |
スネコス | Professional Dietetics社 | CEマーク(欧州安全基準適合) |
プロファイロ | IBSA社 | |
レディエッセ | MERZ社 | FDACEマークMFDS |
ヒアルロン酸の注入治療には、重篤な副作用として血管閉塞があり、皮膚壊死や失明、神経障害などの重篤な合併症を引き起こす可能性があります。
また、未承認の製剤を使用している場合にこのような稀なケースのトラブルが起こると、クリニックや医師に対する訴訟リスクが高まります。
以上の不利益を了承し、自己責任としたうえで治療を行いましょう。
まとめ
アラガン社の『ジュビダームビスタ』シリーズも、ガルデルマ社の『レスチレン』シリーズも評価が高いヒアルロンであることは分かって頂けたかと思います。
また、今はまだ未承認の製剤を、クリニック側からすすめられることがあった場合、その理由として以下のことが考えられます。
- 安価である
- 製剤の種類が豊富である
- 特定の部位に対して効果が高い
クリニック側も良かれと思って勧める場合がありますが、医療行為であることを忘れずに、慎重に選択することが大切です。
静岡県富士見市のみずき皮膚科クリニックでは、アラガン社製のヒアルロン酸『ジュビダームビスタ』を取り扱っています。
上述した通り、厚生労働省から承認されているヒアルロン酸製剤を使用するうえで、医療行為を行うクリニックとして安全性の確保に配慮しております。
お肌以外のことで悩まずに、ぜひお気軽にみずき皮膚科クリニックへご相談ください。