乾癬(かんせん)とは

乾癬とは、皮膚が赤く盛り上がった部分(紅斑)に銀白色の厚みのあるかさぶたができ、それがフケのようにポロポロ落ちる皮膚の慢性疾患のことです。
人によって痛みや痒みが伴い、痛みを全く感じない人もいれば、強い痛みと痒みが現れる人もいます。

乾癬の特徴

乾癬は全身のどこにでも発症する可能性がある疾患です。
そのなかでも、日常生活で刺激を受けやすい部分に発症しやすいと言われています。

乾癬が発症しやすい部分

  • 頭部
  • 臀部
  • 下腿伸側など

紅斑にできるかさぶたの大きさや形は人によって異なり、無理やり剥がそうとすると、出血が伴う場合があります。また、症状が進行するとかさぶた同士が合わさって大きくなっていきます。
乾癬は皮膚症状以外にも、発熱や倦怠感、関節の痛みなどの全身症状を引き起こす可能性があるため、症状に応じた適切な治療が必要です。

乾癬が起こる原因

現在、乾癬が発症するメカニズムは明らかになっていません。
それでも、遺伝的要因と環境因子(ストレス・肥満・薬剤・感染症など)が加わった場合に発症しやすいことがわかっています。
乾癬の治療によって症状が回復してきた際は、ストレスや不規則な生活などを見直し、再発防止に努めることが大切です。

乾癬の治療法

乾癬の治療で最も多く用いられるのは、外用薬です。
症状に応じて、ステロイド外用薬やビタミンD3外用薬を使い分けます。
外用薬で効果が見られない場合、内服療法(飲み薬)や光線療法(紫外線療法)、生物学的製剤(注射・点滴)を検討します。

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎とは、痒みを伴う湿疹が慢性的によくなったり悪くなったりを繰り返す病気のことです。
目の周りや首、肘、膝などに対して、左右対称で皮膚の赤みや強い痒みが生じやすい傾向にあります。

アトピー性皮膚炎の特徴

お肌が乾燥しやすく、湿疹が出やすいアトピー体質の方の場合、汗やストレス、体調不良などが原因となり湿疹が増えていきます。
湿疹が広がることで、睡眠中などに激しい痒みで患部を掻きむしり、症状が悪化したものがアトピー性皮膚炎です。
アトピー性皮膚炎は、皮疹の重症度で軽微、軽度、中等度、重症に分けられます。
具体的には、皮膚がカサカサして乾燥した状態、ゴワゴワと皮膚が硬く厚みのある状態、腫れて皮膚からジクジクとした汁が出る状態などで重症度が決まります。

皮疹の重症度

軽微・主な症状は皮膚の乾燥
・炎症などは乏しい
軽度・皮膚がカサカサに乾燥している
・赤み(赤斑)が出ている
中等度・紅斑が出ている
・皮膚がカサカサに乾燥している
・ささくれになる
・皮膚が剥がれる
・皮膚が腫れて硬くなるなど
重症・患部が赤く腫れている
・浸潤してジクジクした汁が出る
・皮膚の表面から白い粉が吹いている
・皮膚が剥がれ落ちる
・水疱ができるなど

アトピー性皮膚炎の治療法

現時点でアトピー性皮膚炎を完全に治す治療法は存在しません。
原則、対処療法での治療を行い、皮脂の重症度に応じて外用薬を選択します。
全身に湿疹が出ていても、皮疹の重症度が軽微または軽度であれば、強い外用薬を使う必要はありません。湿疹の範囲が狭い重症の皮疹の場合、強めの外用薬が用いられます。
アトピー性皮膚炎の治療で大切なのは、状態を見極めた適切な外用薬選びと、症状を緩和させたあとにお肌を良い状態で保つことです。
アトピー性皮膚炎の治療は、以下の2ステップで行います

①皮膚の炎症を抑える

まずは、皮膚炎などが見られる部分に対して、ステロイド外用薬(副腎皮質ホルモン軟膏)やプロトピック軟膏(免疫調節軟膏)を塗布して症状を緩和させます。

ステロイド外用薬には様々な種類があるため、体の部位や炎症の程度に応じて最適な抗アレルギー剤を選択します。

睡眠中は副交感神経が優位になるため、痒みが日中よりも強くなりますが、抗アレルギー剤の内服で掻きむしりを予防することが可能です。

通常、ステロイド外用薬の使用により、痒みや皮膚炎が数日から1週間程度で落ち着きます。
それでも症状が緩和されない場合、ステロイド外用薬の使用の継続や紫外線療法の追加、点滴や注射による治療、内服療法の実施などを検討します。

ステロイド外用薬による治療は塗り方も重要なため、医師から患者さまへ正しく指導いたします。

②皮膚の炎症を予防する

お肌が乾燥している場合、皮膚炎が再発して元の状態に戻ってしまうことが懸念されます。

そのため、抗アレルギー剤で皮膚のブツブツが治まってきたあとは、保湿剤でお肌のケアを行います。

皮膚炎の再発防止で使用する保湿剤には、プロペト・ヒルドイドソフト・ローション・ビーソフテンローションなどが挙げられます。

③デュピクセントでの治療を検討する

ステロイド外用薬やプロトピック軟膏による治療で十分な効果が得られなかった場合、デュピクセントという注射薬の使用を検討します。

デュピクセントは、保険が適応される皮下注射であり、アトピー性皮膚炎の痒みや皮疹の原因を抑える目的で使用されます。

15歳以上の方を対象としており、投与を開始したあとも外用薬の使用を継続可能です。

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